甘い唐辛子
あんなに弱い奴なら、私がわざわざ婚約を申し込みに来る程でも無かったんじゃ……
いや、まだ油断は出来ない…
それに、もう交渉は成立した。
回れ右をするには、少し遅かったんだ。
半年前、藤成に情報が入ってきた。
海堂が急に力を付け始め、1年後には藤成をも超える勢いだと…
このままでは、藤成は海堂の下につく事になる。
それは、避けなければならないこと。だから私は考えた。
海堂が藤成を超えてしまう前に、海堂を藤成の味方につけてしまおう…と。
私が海堂の次期組長の許へ嫁いだら、次期組長が組長になった時、私は海堂の中で組長の次に強い権力を持つことになる。
それに、私が海堂での仕事を頑張れば、海堂は私を手離せなくなる。
何か藤成に不利なことがあれば、私は離婚を申し出る。海堂は私を止めるだろう…
そして、藤成に不利なことをやめるだろう…
私はこの計画に自信があった。