甘い唐辛子
「姐さん?大丈夫っすか?」
灰色の世界に、空に見入っていた。
組員の声で、やっと現実を見た気がする。
「やはり、少し休んだほうが…」
「あぁ…そうする。」
車の扉を開けたのは、1番年下の組員、神楽だった。
見たことはあるが、話したことはない奴だ。
少し、力を試したくなり、声をかけた。
「今日は、雨か?」
「へっ…へい!夜からだそうっす!」
「そうか。あとで、私の部屋に虎太郎を連れて来てくれるか?」
「へい!」
「よろしく。」
強ばった顔を少し和らげ、神楽は微笑んだ。
慣れれば大物になるか…?
私の勘はそう言っていた。神楽の微笑みは、どこか純粋で、どこか黒かった。