甘い唐辛子


「虎太郎…強くなれ。強くなって、海堂から私を連れ戻せ。そしたら一緒にいられるから。」

「本当?」

「本当だ。」

「わかった。僕、強くなる。」

「うん。」


涙を溜めた目を擦り、私を見上げてくる目には、強い光を感じた。



虎太郎なら大丈夫。


そう思えた。





それを影から見ていた親父が、微笑んだのには、気付かなかったが………


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