セパレート・ウェイズ
僕たちは、車のなかで初めて顔を合わせた。
写真は送り合っていたので、最初の感想は「動いてる」だった。写真が動いている。動く駆。
メールや電話で話して、知っているつもりでも、実際に会ってみると、その新鮮さに驚いた。それは、テレビで見る芸能人の、動く姿を間近に見た感動に似ていた。
「拓。はじめまして」駆は言った。はじめまして。僕は恥ずかしさを隠すために、いそいそとシートベルトを探して、止めた。

突然の誘いで、さっきまで緊張なんてしていなかったのに、駆に会った途端、胸のなかにドキドキを感じた。
そんな僕に気づく様子もなく、駆はとりとめなくしゃべった。はじめは圧倒されていた僕も、相槌を打ちつつ、とりとめなくしゃべった。
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