君という海に溺れる
また一つ、大きな波紋が広がった。
積もる雨がアダムの唇から生まれるような、綺麗な音の雨ならよかったのに。
光を反射してキラキラと光る雨ならよかったのに。
でも、私の心に降り続けるのは、そんな綺麗なものではない。
「私のは、汚いんだよ」
足元に出来た水溜まりはたくさんの泥を含みぬかるんで。私を引きずり込んでいく。
足掻いても足掻いても埋まっていく足。
いつだって、自分が傷付くことを一番に考えて。
それから逃げる道ばかりを探している。
人の幸せすら素直に喜んであげれない、汚い自分。
そんな私に降り積もる雨が綺麗なはずがない。
晴れ間が映し出されるはずがない。
一体誰が、こんな存在を愛してくれるというのだろうか。
「光の中にいるあの子に嫉妬してばっかり」