君という海に溺れる




「いつもね、置いていかれるの」




声に出した言葉は思っていた以上に細く、震えてしまっていたけれど。

それは私の心からの言葉。

昔から変わらない心からの不安。


その思いはいつだって私を必要以上に焦らせる。




「あの子は私の知らない世界を知っていて、いつも私の先を歩いてる」




私より年下であるはずの彼女。

あの子の周りにはいつも、あの子を支えてくれるたくさんの花があった。

そして彼女はその花に甘える方法を知っていた。

少なくとも私にはそう見えているのだ。


悩みを話せる仲間がいること。

ともに笑える友がいること。

不安を曝け出せる空間があること。


それは心の狭い私には、とてつもなく眩しい光景。



< 105 / 296 >

この作品をシェア

pagetop