君という海に溺れる
つられて見上げた鮮やかな青に染まった空は、まるで海が浮かんでいるように見えた。
「…周りからはね、理解されないみたいなんだ」
私の感情は、その三分の一も伝わらない。よく感じることがある。
私が抱く感情と他人の感情は、例え同じ色をしていてもその形が一致しない。
あの時、此処から初めて見た景色のように。
だから私がいくら不安を訴えてみても、その全てが正しく相手に伝わることはなくて。
返ってくる言葉はいつも私の不安を更に募らせるものばかりだった。
上辺だけの優しさは私の仮面をより頑丈なものにしていく。
昔たった一人だけ、真っ直ぐに受け止めてくれる人がいた気がするけれど。
それは、もう遠い日の話。