君という海に溺れる




それは目には見えない形の無いもの。


誰かにとっての小さな悩みは、時に他の誰かにとってとてつもなく大きな悩みになっていることもある。

そしてその逆もまた然り。

その重さを計ることなど誰にも出来はしないのだ。

全ての色が同じはずなどないのだから。


けれど人はそれに気付けない。

傷付くことを恐れ、皆が自分と同じだとどこかで期待している。

そんなこと、あるはずないのに。




「でも…幸せの大きさも、一人一人違う気がするんだ」




そう思わない?

そう言って微笑みながら首を傾げるアダム。

その言葉に私も首を傾げた。




(幸せの、大きさ…?)




そんなこと、考えたこともなかった。



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