君という海に溺れる
苦しむことではなくて幸せの大きさ。
それは涙することではなく、笑顔でいるための形。
負った傷の数ばかりを数えていた私は、笑顔の方法など考えたこともなくて。
「俺の幸せは、誰かにとっては些細なことかもしれない」
細められた彼の瞳は確かに幸せの色を浮かべていた。
喜びも、同じなのだろうか。
もしそうならば、私にとっての小さな幸せは誰かにとっての大きな幸せに。
誰かにとっての小さな幸せは、私の大きな幸せになるのだろうか。
「俺は、ハナが笑ってくれたら嬉しい。それだけで幸せだよ」
─────────────コポ、
肺が歓喜の音を上げる。
早まる鼓動に胸が痛んで。
その言葉は私に幸せを運んでくれた。