君という海に溺れる
だけど、それでも羨ましいと思ってしまう。
私も欲しいと願ってしまうのだ。
その暖かさに憧れて。
人に近付くことを恐れたのは私自身だというのに。
こんな性格だから誰からも好かれないのだろうとわかっていた。
それが、あの子と私の違いだと。
顔には人の心が表れてしまうから。
しかしそれを理解すればするほど、嫉妬という感情は更に深まっていって。
悪魔のようなサイクルから抜け出せない。
「……そうなのかな?」
唇に浮かぶのは歪んだ嘲笑。
口をついて出るのは重い溜息。
気付かぬうちに頭は下がり、俯いてしまっていた顔。
そんな私に降ってきたのは、木漏れ日を吸い込んだ声だった。
胸に溶け込む暖かい、光の声だった。