君という海に溺れる




ほんの些細なきっかけで、固く縛り付けてあったはずの鎖を壊してしまうのだから。


そのきっかけをくれたのはアダムだった。



『幸せの大きさも、一人一人違う気がするんだ』



あの日のアダムの言葉が私の体と心を動かした。

少しだけ、自分自身と向き合えるのではないかと思ったのだ。




(…たくさん、逃げてきたからね)




色のわからなくなった世界で光をくれる彼を、信じてみたい。

そこで手始めにと思い付いたのが、このアルバムのことだった。


正直に言おう。

私は自分のことが今も昔も大嫌いだ。

したがって、過去の自分の記録を見るなど悪夢。

拷問の後に死刑宣告されるようなものである。


出来るならば全てを消してしまいたい。



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