君という海に溺れる




けれど、どれほど願ってみても消えてはくれないのが現実で。

この重みがそれを実感させる。




「見てみる、か」




向き合ってみるしかない。

やってみると決めたのは私だ。

アダムを、信じてみたいと思ったのだから。


一度目を瞑り、ふぅと深く息を吐き出してからアルバムの一枚目を捲る。




「……」



パタン



「……消えたい」




開始一秒でもう挫折しそうになった。

何で探してしまったのだろうとすでに後悔し始めている。


一体何なんだ、私の過去は。

今ここで全ての過去を跡形もなく抹消したい。今すぐに。


アルバムに写る自分の姿はどれを見てもあまりに酷くて。

思い出に浸るどころか、思い出したくない記憶ばかりが甦ってくる。



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