君という海に溺れる
決して消えることなどないのだと、毎日痛いくらいに思い知らされる。
そのたびに疼く古傷は、少しずつ私の記憶を閉じ込めようとしてきた。
繰り返す、過ちにも似た行為を。
やっぱりもう、見るのは止めてしまおうか。
両手にずっしりと響くアルバムの重さに耐えきれなくて。
再び蓋をしてしまおうかと視線を逸らしかけたとき。
ふと、一枚の写真が目に飛び込んできた。
「…あ…」
その中で笑っている一人の男性の姿。
その顔に当時の記憶が戻ってくる。
辛いだけだった学生生活の中で、唯一心踊らせていた季節のことを。
ただ思うだけでよかった瞬間。
大好きだと思っていたあの人。
「懐かしいなぁ…」