君という海に溺れる
「…なんて、やっぱ無理かな」
パタン、
心の中に浮かんだ願いに自ら嘲笑を溢してアルバムを閉じる。
目蓋の裏に映ったアダムの微笑みにギュッとお腹の奥の方に痛みを覚えた。
写真に映る学生時代の恋よりも鮮やかな微笑みが全身を支配して。
もう、アルバムを見るのはよそう。
どうやら私にはまだ早かったようだ。
まだ、向き合う強さが足りないらしい。
そんな自分の弱さに苦笑しつつ、アルバムを押し入れの中に戻そうとしたとき。
ひらりと一枚の紙切れが床へと落ちていった。
舞い落ちるその姿はスローモーションのよう。
「?」
ふわりと床に辿り着いたそれに奪われる視線。
──────────コポ、
肺が、訴えている。