君という海に溺れる




そしていつも思うのだ。


このまま私が連絡をしなければ、友人であった事実もいつのまにか消えてしまうのだろうかと。




「気にしすぎなんだろうけどさ」




知らぬうちにぽっかりと胸に空いてしまった穴の塞ぎ方はもう忘れてしまった。


わかっている。

これが私の我儘であるということくらい。


繋がりたいのなら自らが動けばいい。

歩み寄ればいい。


けれど、それはどうしても悔しくて。

私はその程度の存在なのかと虚しくなって。


そんな気持ちが連絡する手を躊躇わせる。

一方通行かもしれない思いを繋ぐ勇気は私にはもうないのかもしれない。


皮肉な話だ。

交友関係を作ることに足踏みする私が、誰よりその関係にしがみついているなんて。




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