君という海に溺れる




ずっと、出来るだけ"いい子"として生きてきたつもりでいた。


周りの言うことに首を縦に振って、静かに納得される笑顔でいるように。

不快に思われないように。

それは出来る限りの努力だった。


でもそれは私自身が傷付かないように選んだ道でもあって。

そしてそんな自身が誰も繋ぎ止められなかった事実もある。


受け身の友情など、一人抱えた愛など長く続きはしない。


結局その苦しさに耐えかねて、自らその鎖をちぎるのだ。

寂しさから逃げ出すように。


そして誰もいらないと再び鎧を作っては、繰り返す。

何度も何度も同じ過ちを。


無限に続く螺旋階段の先に太陽はあるのだろうか。




(私は…なんでいるんだろう…)




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