君という海に溺れる




────────────コポ、



体の奥が呼吸できないと強く悲鳴を上げている。


私は壁に背をつけ、ずるずると崩れるようにその場に座り込んだ。

ぽちゃりと鳴った水の音を求めて手を伸ばしても、あるのは霞む視界だけ。


誰かと一緒にいるのは怖いし辛い。

苦しいし、痛い。

けれど一人でいることにも慣れることが出来なくて。

いつか、誰かにこの手が届くのではないかと遠い月の光に願っては、誰かの一番に憧れた。




(なんて、醜い)




なんて矛盾した感情。

いつからこんな風にしか考えられなくなってしまったのだろう。

もう、思い出すことさえ難しい綺麗な思い。


こんな私を一体誰が引き上げてくれるというのだろうか。




< 145 / 296 >

この作品をシェア

pagetop