君という海に溺れる
視界を遮るように手のひらで目を覆い隠す。
広がった世界はまるで暗く深い海のよう。
心の雨は降り続けたまま、その音が止むことはない。
あの日、アダムから貰った確かな幸せが日に日に体から抜け落ちていくような気がして。
あの微笑みが思い出せなくなるんじゃないかと体が震えた。
怖くて、ただ怖くて。
膝に頭を埋めて消えてしまわないようにと自分の体を強く抱き締める。
(…あいたいよ)
(ねぇ… 、)
(あなたは、どこにいるの…?)
此処にも、私の居場所を見つけることは出来ないのに。
わかっていながら駒は今日も偽りの笑顔を讃える。
手を伸ばした先に。
(あの日の笑顔を夢見て)