君という海に溺れる
そう強く願った瞬間、強い光がこの手を引いた。
それは木漏れ日のように優しく暖かいぬくもり。
握られた手は涙が流れそうになるくらい求めた愛しさ。
「─────────────ハ、」
バッと勢いよく目を開ければ、目の前にはいともと変わらない木目の天井が広がっていた。
目覚めたのは太陽が真上を通過した後のこと。
部屋の中はその熱に温められたのか少しばかり暑いと感じる。
「…夢…?」
言葉を発しながらも乱れたままの呼吸。
じっとりと肌を覆う汗。
額からポタリと流れてくるそれは暑さ故ではないだろう。
それでも見渡した景色が、外から差し込む熱があれは夢だったのだと教えてくれる。