君という海に溺れる




アダムと出会ってから、少しずつ増えた睡眠時間。

それに気付いたのはつい最近のことだ。


それはほんの僅かな変化。

だけど確かな変化。



カツ、




「…ん…?」




半ば放心状態のまま天井を見上げていれば、何かが小さく音をたてた。

それと同時に指先に絡まるコードと感じた冷たく固い感触。




(…あぁ…)




すぐに、それが何なのかはわかった。

悩む必要もない。

だってそれは私が大切にしているものだから。


言うならば【依存】というものなのだろうか。


それが無ければ私が毎日を生きていくのは難しい。




(…あ、でも…)




いつも肌身離さず持ち歩いているそれ。

けれど、頭の中に流れた音に思い出す。




(少し違う、か…)




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