君という海に溺れる
────────────コポ、
呼吸をするように自然に。
繰り返し繰り返し、何度もその声を体に取り込んで。全身に巡らせていく。
そのまま内側に留まってくれればいいのにと、心の中で小さく願った。
そうすれば離れることなどないのに、と。
私が音楽をスピーカーで聞くことは殆どない。
理由はいくつかあるが大きなものは二つ。
一つは、昔スピーカーて流す音を"五月蝿い"と親に怒られたこと。
あれ以来、自分の部屋でも音楽を流すことを躊躇うようになった。
しかしそれとは比べものにならないくらいの大きな理由がもう一つ。
それが理由の大部分だと思う。
私は、あの声を独り占めしたいのだ。
決して、奪われてしまわないように。