君という海に溺れる
今朝感じたどうしようもない息苦しさを抱えたまま、何とか大学まで辿り着く。
ここに来るまでの足取りはいつもよりも数倍重く感じるのは気のせいではないだろう。
(…だるい)
未だにぼんやりとする頭で本能的に人の波を避けながら、目的の教室へと向かった。
きっと今の自分の表情は最悪なものなんだろうと思いながらも、自然と弛むことはないこの頬。
仏頂面なのかそれとも仮初めの笑顔なのか。
鏡を見てみないと私にもわからない。
固く重い扉を開き、一瞬だけその箱の中を見渡すとすぐに歩き出した。
疎らに生徒が散らばる中、適当に空いている席にぼんやりと目の前に広がる大きな黒板を眺める。
もう視界にはそれしか映っていない。
無意識のうちに人が一番少ないであろう場所を選んだのは、長い年月の間でこの身に染み付いたものなのだろうか。