君という海に溺れる




「いや…アダムは可愛いな、と思って」




アダムのそんな表情を見ていたら、先程まで頭を占めていた思いはどこかに飛んでいって。


ただ、目の前の彼の姿に心を擽られた。


素直にそう告げれば、納得いかないとでも言いたげにアダムは眉間にグッとしわを寄せる。

それでもその美しさが揺らぐことはない。




(本当、何やっても可愛いな)




彼の全てにいつか殺されてしまいそう。

もはや罪なんじゃないだろうかとさえ思う。


そんな私をよそに、一人考えるように唇を尖らせるアダム。

暫くして何かに思い当たったのか、ふっと楽しそうにその表情を緩ませた。


そして顔いっぱいに意地の悪い笑みを浮かべて私を見る。




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