君という海に溺れる




「ハナ、俺が女か男かちゃんとわかってる?」


「…男でしょ?」




突然の質問に今度は私が首を傾げる番。


違うの?と尋ねれば、彼は違わないよと首を振った。

まったく意味がわからない。

しかし、何故かアダムは楽しそうで。


わけがわからないと再び首を傾げた私を見て、アダムはその瞳に優しさを滲ませる。


そして




「男に可愛いっていうのはどうかと思ったけど…男だってちゃんとわかってるみたいだし、ハナの本心みたいだから許してあげる」




褒めてるんでしょ?


そう言って微笑んだ。



───────────コポ、



瞬間、風が吹いて世界が色づく。


彼の言葉に、表情に。

ドクンと脈打つこの体。


あぁ、どうして。




(何で、なんで)




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