君という海に溺れる
暫くの間そんな時間が続き、空は色を変え星が瞬き始める。
移り変わっていく空を見上げていれば、ふとアダムが口を開いた。
「…俺のせいかな」
静寂に響いた哀しげな音。
その言葉に私は顔を上げる。
視線の先には、切なそうに笑う彼の姿。
今にも泣き出してしまいそうな彼に手を伸ばしてしまいそう。
けれど、私には彼が呟いた言葉の意味が理解出来ない。
何故アダムのせいなのか。
どうしてそんな表情をしているのか。
そんな戸惑いが顔に出ていたのだろう。
そっと私の目蓋に彼の指が触れた。
「ハナの涙、俺が一番に拭ってあげようって決めてたんだ」
まるで自分に言い聞かせるように紡がれた言葉。