君という海に溺れる
一分二分と時計の針が進んでいけば、だんだんと数を増していく周りの景色。
この時間が心底嫌いだ。
担当教員が来るまでの間、教室の中はざわざわと何か正体のわからないたくさんの音で満ちているから。
高い音、低い音。
笑う音、何かを嫌がる音。
小さく耳を掠める音、頭の隅に残像を残す音。
音、おと、オト。
止むことなく次から次へと続くそれに吐き気を覚える。
どうしてこの世界にはこんなにもたくさんの感情を表す手段があるのだろうか。
何故、こんなにも人は進化したのだろう。
(…うる、さい…)
そう思うけれど口には出さない。
周りを見やることもしない。
そこに溢れているであろう"感情"を感じるのは好きではないから。
ましてやその裏にある"心"など考えたくはない。