君という海に溺れる
どんな弱音も泣き言も。
隠してきた狂気染みた感情さえも。
アダムは"大丈夫"と笑ってくれるから。
外した仮面を拾うことはやめて。
たった一つの真実以外、心はそのまま言葉になる。
私が再び紡いだ問い掛けに、アダムは考え込むように顎に手を当てた。
「誰かの、一番…」
小さくそう呟いて彼の視線が落とされる。
それは私の質問に本気で向き合ってくれている証拠だろう。
何度も首を傾げながら、んー…と口を尖らせて悩むアダムに思わず私の口から漏れる苦笑い。
(やっぱ、考えたことないか)
アダムはわかっているはずだ。
その質問の意味がどういうものなのかということを。
それが"好きな人いる?"のような簡単な問い掛けでないことを。