君という海に溺れる




憧れた。あの暖かそうな場所に。




「別に…いつも一緒にいたいとか、何をするにも一緒じゃなきゃとか。そういうことじゃないんだけどね」




確かに"一緒"という言葉はとても魅力的で。

膝を抱える月の見えない夜に一人ではいたくない。

欲を言うなら、いつだって傍にいてほしいけれど。


でも、いつも一緒ではいつか傷付けてしまう気がするのだ。

重い重いこの感情が。


それは違うと思うから。




「…一番だって言ってもらえる人が羨ましい」




羨ましかった。

誰かに必要とされることが。

その存在を認めてもらえているような気がして。


片時も離れないで、なんて我儘は言わない。

ただ、何かあったときに一番に思い出してもらえたなら。




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