君という海に溺れる




いっそのことこの思考ごと全てこの暗闇に飲み込まれてしまえたら、楽なのだろうか。

この身を預けてしまえたなら、もう何も見ずに済むのだろうか。


いつからだろう。

憧れていたはずのこの場所を"嫌だ"と思うようになったのは。

"苦しい"と感じるようになってしまったのだろう。



夢、だったはずだった。


好きなことを学べるこの場所が。

誰に臆することなく好きなものを好きだと言えるこの場所が。


早く、辿り着きたいと思っていた。


そのために耐えた時間もたくさんあったのだ。


それなのに。



──────────────コポッ



私を支えていたはずの小さな夢は、心の中で黒く渦巻く闇にぐらりぐらりと飲み込まれてしまったようで。


いつからか光の中に姿を現してはくれなくなっていた。




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