君という海に溺れる
「…あれ…?」
彼に近付いていくと、目に入ったアダムの傍にある大きな何か。
形をとらえてようやくその存在に気付く。
それはアダムによく似合うもの。
そして、私の心を揺らすもの。
「珍しいね。アダムがギター持ってるなんて」
そう言ってアダムの隣に腰掛ければ、彼を照らす輝きと同じ木漏れ日が私にも降り注ぐ。
見上げた空から注がれる柔らかな光はまるで白いベールのように彼を包んで。
平等に与えられているそれが私とアダムを近付けてくれていると信じながら、その眩しさに目を細めた。
「そういえば、持ってきたことなかったね」
傍らに置いてあったギターを手に取り、穏やかな目でそれを眺めるアダム。