君という海に溺れる
(髪、伸びたな…)
何となく伸ばしていた髪。
それが似合う顔が俺にはあった。
自分でも思う。俺はモテるタイプの人間だと。
中性的な顔立ちにどちらかといえば華奢な体つき、男にしては高めの声。
流行も手伝ってか、少しばかり日本人離れしたこの顔は女から見て魅力だと思われることが多いことも知っている。
序でに言えば、顔がよければ多少内面に問題があっても許されることも知っている。
学生の頃はそれでよかった。
そうやって上手く生きてこれたし、それは自信に繋がったから。
だけど今は、そんな自分の容姿が自らの首を絞めて。
知ってほしかったのは音楽。
伝えたかったのは歌に込めたほんの少しの思い。