君という海に溺れる
そして、今日も俺はあの子に会いに行くのだ。
「こんにちは」
「おねえさん、こんにちは!」
そっとあの子が座るベンチに腰掛ける。
すると彼女はゆっくりとその顔を俺に向けた。
そして今日も変わらずにこにこと柔らかい笑顔を向けてくれる彼女。
細められた瞳は真っ直ぐにこちらを見ていて。
木漏れ日がよく似合う彼女の瞳の中の俺が、嬉しそうに笑っていた。
「本を読んでたの?」
ふと、彼女の膝の上に置かれた大きな絵本が目に入る。
どうやらここで一人、この本を読んでいたらしい。
「うん!おねえさんみたいなおひめさまがでてきたの」
ほら!と見せられた本には、確かに俺と同じような髪をしたお姫様がいた。