君という海に溺れる
届かない言葉に意味はあるのかと募っていく迷い。
やるせなさと孤独に蝕まれて。
あの寂しさを、こんなにも幼い彼女はどうやって耐えてきたのだろうか。
「…さん。おねえさん?」
「……え?」
ハッと俺を呼ぶ小さな声に意識を戻す。
視線を合わせれば、酷く戸惑ったように俺の顔を覗き込む彼女がいた。
「どうしてそんなおかおしてるの?」
その瞳の中に移っている、彼女よりもずっと情けない顔をした俺の姿。
何でもないよ、と微笑みかけても彼女の表情は晴れない。
そんな顔を見たいわけじゃないのに。
ありがとうなら、俺がたくさん伝えてあげるから。
だから
(いつもみたいに笑って)
そう心の中の叫びを声にしようとしたとき