君という海に溺れる




「あら。仲がいいわねぇ~」




どれくらいの間、音を鳴らして遊んでいたのだろうか。

飽きることもなく、俺と彼女はいつまでも向き合っていた。


ふとその音が止んだとき聞こえてきた声。


その声に二人揃って顔を上げれば、散歩をしていたらしい知らない老夫婦が穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。




「二人とも幸せそうに笑ってたから、私たちも幸せな気分にさせてもらっちゃったわ」


「あぁ。二人ともお互いが大好きなんだね」




そう言って俺の隣に座る彼女の頭を撫でる男。

彼女は目をぱちくりさせながら首を傾げる。




「どうして"すき"ってわかるの?」




彼女のその真っ直ぐな言葉にドクリと俺の心臓が鳴った。




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