君という海に溺れる
その日は、あまりに突然やってきた。
なんの準備も出来ていなかった心には、突きつけられた現実が酷く痛い。
珍しく昼間から降った雨。
そういえばあの子と会う日は晴れの日ばかりだったと、雨雲を見つめて初めて気付く。
そのせいか、雨の降るなか傘を差しながら彼女をさがすのは何となく不思議な気分だった。
それでもいつも通り俺の足は進む。
(…あれ?)
けれど、いつものベンチに彼女はいない。
(今日はいないのかな?)
そんな考えが頭を掠めた。
雨のせいで外に出してもらえないという可能性もある。
それなら此処には来れないだろう。
しかし、何故か俺には彼女がどこかにいる気がして。
彼女が俺を待っているような気がして。