君という海に溺れる
そしてやってきた別れの時間。
込み上げてくる寂しさ。
お互いになかなか手を離すことが出来なくて。
それでも彼女を立ち止まらせるわけにはいかなかった。
ゆっくりと膝を折り、彼女と目線を合わせ笑ってみせる。
上手く笑えているかはわからない。
そんな自信もない。
けれど、今出来る最上の微笑みを彼女へ。
思い出が悲しいものにならないように、笑った顔を覚えていてほしかった。
「必ず迎えに行くよ。また、シロツメクサが咲く頃に」
その時は、今度は僕が白い王冠を作ってあげる。
「ぜったい…?」
「うん。約束」
しっかりと小指と小指を絡ませて。未来を繋ぐ。
忘れてしまわないようにきつく結んだ約束。