君という海に溺れる
遠く月日が流れて、あの人たちの音楽に出会った日。
あの瞬間も、特別なのだと思った。
理由なんて何もなかったけれど。
純粋にこの人たちの音楽は自分にとって特別なものなのだと思った。
そして虹の麓を目指した日。
どこかできっとあの人を探していた。
約束を交わしたあの日も、空には綺麗な虹が架かっていたから。
あの人は私の涙を拭ってくれるから。
悲しみを消してくれる人。
降り続く雨を晴らしてくれる。
会いたいと望むとき、あの人は必ず来てくれたから。
また、出会えるような気がしたんだ。
「…俺が久しぶりにこの場所に来た日、虹が架かってたから」
半ば放心状態になっている私の瞳を覗き込むアダム。