君という海に溺れる




いつまでも変わることのない優しい彼の微笑みに目頭が熱くなる。




(あぁ、どうして)




どうして彼がその言葉を紡ぐのだろう。




「ハナに会えるような気がしてた」




───────コポ、




「ハナは俺が会いたいと願うとき、いつも傍にいてくれたから」




────────コポ、



息苦しかった世界で、体が、魂が呼吸し始める。

水面がゆらりゆらりと揺らめいて、穏やかな光が波間を照らした。




「約束したでしょう?必ず迎えに行くよって」




そう言って真っ直ぐに私を見つめるアダムの瞳。

その瞳は確かに笑っているはずなのに、今にも泣いてしまいそうに見えて。

ぎゅっと胸が締め付けられる。




(そんな顔しないで)


(笑ってみせて)




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