君という海に溺れる
どれくらいそうしていたのか。
時間を数えることは随分前にするのを止めた。
時間という概念すら邪魔だとわかったから。
ただ、アダムの隣でゆっくり息を吸って。
噛み締めるように吐き出す。
そして時折その綺麗な横顔を眺めていた。
それだけで体の内側が満たされていく。
心の中が穏やかに波打つ。それでいい。
オレンジ色に染まる彼の肌や髪。
その眩しさに何故だかまた涙が出そうになった。
アダムは特に何を言うわけでもなく、時々聞いたことのない音楽を口ずさんでは首を捻ったり頷いたりを繰り返す。
その姿がなんだか可愛くて。
それを見て、また私は呼吸するのだ。
水に飢えた魚のように。
彼に"生"を求めて。
────────────コポ、
体の奥で水の音が波紋を広げる。