君という海に溺れる
「…んあ…?」
何とも間抜けな私の声が人の行き交う道に落ちた。
とある日の学校からの帰り道。
いつもと変わらぬ道のいつもと変わらぬ風景にその日、珍しく心惹かれるものを見つけた。
それは非日常であり、私の唯一。
釘付けになる視線。
私が立ち止まるほど惹かれるものなど、この世にたった一つしか存在しない。
それはたまたま通りかかったCDショップ。
いつもなら気にも止めずに横目にすら見ることなく通りすぎる場所だが、この日だけはわけが違った。
見つけてしまったのだ。ある一つの輝くポスターを。
あの人たちが写るポスターを。
その告知ポスターに書かれた"新アルバムリリース"の文字。
それに吸い寄せられるように無意識に店内へと足を踏み入れる。