君という海に溺れる
中に入れば一番目立つ場所に置かれた一際大きな広告パネル。
それはあの人たちの人気の高さを示していて。
その事実についつい緩んでしまう頬。
しかしそれも一瞬のこと。
そこに記された発売日に再び"…あ…"という情けない声が漏れた。
「え、嘘でしょ…?」
小さくこぼれ落ちた間の抜けた呟き。
絶句するとはこういう事かと頭の隅で思う。
それはある意味、今年一番の衝撃だった。
(もうすぐだったのか、発売日…)
いまだかつて、こんな形でこの事実を思い出すなんてことがあっただろうか。
どうやらもうすぐ大好きなあの人たちの新しいアルバムが発売されるらしい。
いや、知らなかったわけではない。
随分前だが、その発表をネットで見た気がする。