君という海に溺れる




(…あ…髪…?)




そして見つめた先に気になったのは、写真の中央に写るあの人の髪型だった。

長く、ウェーブのかかった髪。


そういえば、あの人の髪はこんなに長かっただろうか。

ふと沸き上がった疑問に自らの記憶をたどる。


確か、最後にその姿をこの目で見たのは半年くらい前だったはずだ。

雨の中で行われたコンサートの最終日に駆けつけたのが最後。

雨に打たれながらも輝くあの人を見た。


あの時は…肩につくかつかないかくらいの長さだったはず。




(ってことは…エクステか何かつけてるのかな…?)




パネルに写るあの人の髪は胸下まで届きそうな長さ。

まさか短期間でここまで伸びるわけはない。

ということはほぼ間違いなく本人の髪ではないだろう。




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