君という海に溺れる




ますます強く深くなっていく眉間のしわは自分ではもうどうすることも出来ない。


顔を隠すように俯き、ぎゅっと目を瞑って僅かに吸い込んだ空気で呼吸を整える。




「あんた具合悪いの?」




そんな私の耳に聞こえた声に閉じていた目を開けた。

その目で捕らえたのは邪険そうにこちらを見る母の姿で。




「…うん。ちょっと」




母からの言葉に濁すように返事をする。

具合は確かに悪いが、その理由を言う勇気はない。


けれど母からの次の言葉に、嘘を吐けばよかったとすぐに後悔した。




「どうせ遅くまで起きてたからでしょー」




どこか怒ったようにそう言う母の声が遠く聞こえる。



─────────────コポ、



同時に私の言葉など信じていないその声色に息が止まった。



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