君という海に溺れる




笑うことも、怒ることも、頑張れと言うことも出来ない。

頭も体も心も、全てが拒否していた。


だからといって、家に帰ることも出来ない。

自ら再びあの場所に戻る勇気など今の私には、ない。

そして泣くことも、許されはしない。




─────────────コポ、




「…っ」




あぁ、やっぱり息が苦しい。


どうして、どうして。


空はこんなに青いのに。

あの人の色を映しているのに。

この体は確かに空気を吸っているはずなのに。


どうしたこんなにもクラクラするのだろう。

チカチカと辺りの景色が歪んでいくのだろう。



海は、私を見捨て消えていってしまったのだろうか。


出来ることならこの意識を手放してしまいたい。今、すぐに。

闇の奥底に沈んで、深い眠りの淵に溶けてしまえたら。




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