君という海に溺れる
辿り着いた先に見つけた変わらない彼の姿。
「こないだぶりだね」
柔らかな声に誘われて光輝くあの場所へ私が一歩を踏み出せば、カサリと足元の草が音を鳴らす。
(…あ…)
その小さな音に思わず足を止める私。
なんだかその僅かな音が、アダムのいる世界を壊してしまった気がして。
とてつもない罪悪感が私を襲う。
自然と俯く視線。
その場に立ち尽くしてしまった私に、木の幹に背中を預けていた彼はゆったりとその体を離して私と目線を合わせた。
そして整った彼の顔に浮かぶ、ふわりとした笑顔。
その瞬間、全ての景色が一つになった。
絵に描いたような微笑みに息が止まりそうになる。
──────────────コポ、
けれど、そんな思考とは対照的に私の体はその微笑みで呼吸するのだ。