財閥vs暴力団~争いに巻き込まれて~
美利亜の姿が見えなくなってから慎也は口を開いた。


「あぁ。でもまだ知らなくていい。」


「俺に記憶がないから?」


「それもある。でも。」


水月は慎也に背を向けると


「知ったらお前は選ぶことになる。」


そう言った。


「何を?」


「桂慎也として生きるか否か。」


「それ、どういうっ!」


慎也はさらに質問しようとしたができなかった。


頭に激痛が走ったのだ。


慎也は頭を抱え、その場に崩れ落ちた。


朦朧とする意識の中で慎也は聞いてしまった。


「玲、あんまり嵐(あらし)を刺激するな。」


玲と呼ばれた水月は振り返りもせず


「してねぇよ。兄さん。」


そう言って水月は立ち去った。


     ****


10分後。


「…や、…んや、慎也!」


慎也は池村圭(いけむらけい)に起こされた。
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