財閥vs暴力団~争いに巻き込まれて~
1曲歌い終わり、鳴り止まない拍手とアンコール。



もう1曲歌うのかと思ったが



「マスター、今日は帰る。気分わりぃし。」



龍がステージを降りながらカウンターにいるマスターに向かって叫んだ。



「はいはい。まったく気まぐれなんだから。」



マスターは苦笑いをして龍に向かって何かを投げた。



「ほら、その子にお土産。今日は特別におごってやるよ。」



「マジ!サンキュー。次回はちゃんと歌うよ。」



龍は足早に美利亜のところに来ると、さっきマスターが投げたものを渡した。



それは袋に入ったマフィンだった。



「さぁて、帰りますか。」



後からステージを降りてきた愛梨栖が伸びをしながら言った。



「うん。」



美利亜は勢いよくイスから立ち上がった。



そして愛梨栖の横にいき、



「愛梨栖、歌上手いね。かっこよかったよ。」



そう言った。



すると



「嘘つけ。アタシ、歌下手だし。」



愛梨栖は顔を赤くしながら言った。



「そんなことないよ。めっちゃうま、うきゃぁ!」



美利亜は言いかけて何もないところで躓いて転けた。



「いったぁ。」



「大丈夫?どっか怪我とかしてない?」
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