財閥vs暴力団～争いに巻き込まれて～

そう言って美利亜がみんなに配ったのは、小さな笛だった。


ネックレスのペンダントにも見えなくもないそれは鎖がついていて首から下げられるようになっていた。


「今の状態が危険だから？」


「うん。のえ兄曰く、今が山場だ。だって。」


美利亜はため息をついた。


「これでまためんどくさいことに薬とか飲んじゃうとまた１からだって。」


美利亜たちはエレベーターに乗り込もうとした。


すると


「あ～！」


美利亜が叫んだ。


「今度はなんだ！」


龍はキレ気味に言った。


「忘れ物してきたから取りに行ってくる。」


「はぁ？今朝送ってきた双子の執事が待ってんだろ？」


龍は怪訝そうな顔をした。


「そうだけど、ケータイだから取りに行かなきゃ。先に行ってそう言っといて。」