財閥vs暴力団～争いに巻き込まれて～

「うん。それは大丈夫。たぶん…。」



美利亜は立ち上がり、ぶつけた膝を見た。



「外傷ないっぽいし大丈夫。」



そう言って笑った。



が、対照的に愛梨栖は



「ホントに？」



そう疑いの目を向けてきた。



「大丈夫だって。もう、愛梨栖は心配性だなぁ。」



「何もないところで転けられたら心配するでしょ。」



「そうそう。誰かに足引っかけられたんじゃないかって思うだろ。」



「本っ当に大丈夫なんだね？」



愛梨栖、龍、優の３人の勢いに圧倒されつつ、美利亜は１歩下がって



「大丈夫だから。本っ当に。」



と言った途端、バシャッと頭の上から冷たい液体が降ってきて美利亜の服を濡らした。



「冷た。何これ？」



確かめようとした途端、今度は熱い液体と氷が大量に降ってきてさらに美利亜の服を濡らした。



「あっつ。いった。だから何なの、これ？」



上を見ると、イスの上に誰かがコップを持って立っていた。



その中身が美利亜にかけられたのだ。



愛梨栖たちの位置からでは、顔が影になっていてよく見えなかったが、すぐ下にいた美利亜は目を見開いていた。



「あら、ごめんなさい。ついこぼしてしまいましたわ。」