財閥vs暴力団~争いに巻き込まれて~
美利亜は龍の手からハットをひったくるように奪うと


「邪魔じゃない。うちにとっては邪魔じゃない!」


叫ぶようにして言うとそのまま走り去った。


「あの様子だと何かあったね。」


「優、お前なんでここにいるんだよ。」


いつの間にか龍の後ろに優が立っていた。


「見張り。お前が変なことしないように。」


「ずっとつけてたってことか。」


「そういうこと。まぁ、珍しく地雷踏んだね。」


「何が地雷だよ。気になったから聞いてみただけだし。」


「それが地雷だって。ずっと下向いてしゃべってたじゃん。気づかなかったのか?」


「気づいてたよ。ただ、ちょっともったいないなぁと思って。」


「何が?」


「かわいいのにあんな風に隠してるなんて。」


「お前、そういうこと言ってると殴られるぞ。」


優がそう言った途端、パシーンと乾いた音とともに優の視界から龍が消えた。


案の定、愛梨栖に殴り倒されたのだ。


「龍、美利亜のハット、取ったんだって?」


そう言ってる愛梨栖は笑っているが、目だけは笑ってなかった。


「おまっ、いつの間に。」


殴られた頬を擦りながら龍は立ち上がった。


「さぁ?いつからだろうね。」
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